アレッポ城(قلعة حلب)

中世イスラーム要塞建築の傑作


はじめに

アレッポ城(アラビア語:قلعة حلب)は、シリア第2の都市アレッポの旧市街中心にそびえる、世界で最も古く、最も壮大な城塞の一つです。周囲の街並みから約38メートルの高さに位置し、その威容はアレッポの象徴として長く人々を見守ってきました。

1986年には「古代都市アレッポ」の一部としてUNESCO世界文化遺産に登録されています。


歴史 — 5000年の記憶

アレッポ城が建つ丘には、紀元前9世紀にはすでに神殿が存在していたことが考古学的に確認されています。かつては嵐の神ハダドを祀る聖域でした。

時代主な出来事
紀元前3世紀セレウコス朝時代にアクロポリスとして城塞化
540年ササン朝ペルシアのホスロー1世によって破壊
10世紀ハムダーン朝のサイフ・アッ=ダウラが軍事拠点として再建
12世紀ザンギー朝のヌールッディーンが城塞を強化
13世紀アイユーブ朝のアル=マリク・アッ=ザーヒル・ガーズィーが大規模改修
1260年モンゴル軍(フレグ)による破壊、後にマムルーク朝が修復
1401年ティムールによる破壊、1417年にスルタン・アル=ムアイヤドが修復
1516年オスマン帝国支配下に入り、軍事的重要性が低下
1822年大地震により大きな被害
2012–2016年シリア内戦により閉鎖・被害
2025年修復を経て観光客に再開放

建築 — 難攻不落の要塞

防御構造

アレッポ城の最も際立った特徴は、その高度な防御設計です。

  • 深さ22メートル、幅30メートルの濠が城を囲んでいました
  • 丘の斜面は滑らかな石灰岩で覆われ、敵の登攀を阻害
  • 3つの鉄製扉と6回の方向転換を強いる入口構造
  • 侵入者に対しては、天井の隙間から熱油が注がれる仕掛け

主要建造物

建造物特徴
大モスク1214年建造、高さ21mのミナレット
イブラーヒーム・アル=ハリール廟預言者アブラハムにちなむ聖所
王宮アイユーブ朝時代の宮殿複合体
蛇の門・獅子の門入口を飾る浮き彫り装飾

現在のアレッポ城

内戦中の2012年から閉鎖されていたアレッポ城は、2025年9月27日に再び一般公開されました。14年ぶりにライトアップも復活し、夜の闇に浮かぶ城塞の姿が戻っています。


アクセス情報

項目詳細
場所アレッポ旧市街中心部
UNESCO登録1986年(古代都市アレッポとして)
高さ約38m(周囲の街並みから)
形状楕円形(基部450m×325m)

参考文献

  • シリア国営通信(SANA)
  • Discover Islamic Art(Museum With No Frontiers)
  • Archnet(MIT)
  • 各旅行ガイド・Wikipedia